セルフマスタリングのやり方についてのセルフインタビュー

 

Q1.別の方に頼んだら求めるものが得られなかったので自分でマスタリングしたいのですが、そもそもマスタリング自体無知過ぎて何から手をつけたらいいかわかりません。なにからはじめるべきでしょうか?

A.そうなるとなかなか入口がわからなくて大変ですよね。私も全く無知なことにチャレンジする時は同じ気持ちです。

効果的とされる方法は無数にあります。それらを用いればうまくいくこともあるかもしれませんが、それまでにたくさんの失敗もつきものです。もしマスタリングエンジニアという職業を目指されるのであれば必要なことですが、自らの音楽を自らの視点で多くの人に届けるということが目的であれば、私はあまり深く考えなくてよいと感じています。なぜならおそらく答えは外側にはなく内側にあるからです。求めるサウンドがあたまのなかにあり、それを現実に起こしたいというつよい気持ちがあれば、おそらく方法はなんでもよいとおもいます。正しくやろう、上手くやろうということはクリエイティブからはなれる思考と考えます。そうではなく一度すべてをわすれて、感じたままに好きなようにサウンドをいじりたおせばよいとおもいます。

なにかをしてはいけない、こうあらなければいけないという偏見を横において、出てきた音を感じながらやりたいことをやってもらうことを私はおすすめします。

 

 

Q2.すべて忘れました!でもどうやってはじめたらいいかわかりません、どうしたらよいですか?

A.DAWのプラグインスロットにとりあえず適当に好きなものを5つさしてみましょう。ディストーションでもいいです。1番最後だけはリミッターと呼ばれるプラグインをさしておけばスピーカーと耳が壊れることはありません。

これは違うなというものがあればなかったことにして、また違うものを入れましょう。いいなと感じるものをみつけてください。

 

 

Q3.どれを使ってもよくわからないのでお手本はありませんか?

A.私が使うマスタリングチェーンを種類別で数パターンお伝えしますので参考になれば幸いです。

 

パターンA.

イコライザー

マルチバンドエキサイター

モノバンドコンプレッサー

ステレオイメージャー

イコライザー

リミッター

リミッター

ディザー

 

パターンB.

リミッター

イコライザー

モノバンドコンプレッサー

ダイナミックイコライザー

モノバンドエキサイター

イコライザー

リミッター

ディザー

 

パターンC.

イコライザー

コンプレッサー

イコライザー

リミッター

リミッター

ディザー

 

このようなチェーンテンプレートから始めて頂き、プラグイン入れ替えたり、順番を組み替えたりすることで出てきた音を感じると、求めるものがまたでてくると思います。

 

 

Q4.音量はリミッターで上げていくのですか?

A.基本的にはリミッターとなります。リミッターのモデルにより、よいバランスが得られるゲイン量が異なります。そのため複数のリミッターを使います。リミッターに入力する音量でもリミッターが反応する音色は変わります。前段のプラグインのゲイントリムでよいバランスになることもあるためそれらも上げたり下げたりして音を感じます。

まずはよいバランスになるように、それぞれのプラグインでゲインバランスを決めた後、コンプレッサーで音量の出る具合を決め、イコライザーで気になるところをなおす、という流れがわかりやすいかもしれません。

 

 

Q5.ディザーは必要ですか?音は変わりますか?

A.デジタルの都合上、ディザーがないと、残響が伸びて消えていくときに、ある程度小さな音量になると「ズバババ」とビットクラッシュして音が消えます。ディザーを入れると回避ができます。

ディザーは-70dB前後に常時鳴っているノイズをいれるというものですが、どんな種類のノイズを入れるかによって、サウンドへの影響があります。それがディザーの音の違いです。

ディザーの音変化は色のうすい視覚フィルターのようなものなので、マスタリングコンプを変えました・マスタリングリミッターを変えました、ほどの変化はありません。

半田の音の違いのようなものです。

基本的には入れることによってアタックがぬるい方向にいく傾向があります。使うディザーによって上下の周波数レンジやダイナミクスのレンジと動き方が変わります。

音像や奥行が変わるので、音楽のバランスとリズムに影響するわけですね。

神経質になるのもよくありませんので、まずはフィーリングで選んだディザーを使い、気になった時に他のディザーを試すくらいがよいとおもいます。

 

 

Q6.2mixのストリングや各パートのリズムが合ってない場合、どのようにマスターコンプをかけたらいい感じになりますか?

A.あとから来る楽器のアタックを叩くというのがわかりやすいかなと思います。

一番最初にでてくる楽器の後にきた楽器のアタックを叩くコンプをすると、全体としてのひとつのカーブができると思います。そうするとひとつの共通するリズムができ一体感が生まれます。

ただすべての楽器が同じリズムになる必要はなく、「共通するリズムや揺れ方が必要」という観点です。

揺れのないアンサンブルは感動には至らないと感じているので、各楽器が揺れながら音を紡いでいくという状態を目指したコンプレッションが必要だと感じています。

リリースタイムは、リズム楽器の減衰に合わせて調整をしながら、その他の楽器の減衰が気になればカバーをするという観点がわかりやすいかなと思います。

この問題に対する答えはまだ言語化が発展していくと思いますので、新しい答えが出てきましたら更新したいと思います。